SAKI AI ARTIST← ROOM 02
魔物の棲む森を歩く月の戦士・早紀

SHORT STORY TRAILER / COMING SOON

魔物が棲む森

月の力が消える森

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月の戦士としての力を使い果たした早紀。
魔物の視線が光る森で、銀色の鎧は静かにほどけ始める。

月明かりの魔物の森を歩く銀色の鎧姿の早紀

SCENE 01

見つめる森

戦いが終わった。

早紀は、浅い水の流れる森の中を、ゆっくりと歩いていた。

肩で息をしている。銀色の鎧には傷が残り、長い髪も濡れて頬に張りついていた。

ここは、魔物の棲む森。

頭上には白い月。木々の奥では、いくつもの黄色い目が光っている。

一つ。二つ。

気づけば、早紀の行く先を追うように、何匹もの魔物がこちらを見ていた。

「……まだ、いるのね」

早紀は立ち止まらなかった。剣を握る力も、もうほとんど残っていない。

ただ今は、どこかで休みたかった。

しばらく歩くと、森の岩肌に小さな洞窟を見つけた。早紀は中へ入り、冷たい岩に身体を預けるように腰を下ろした。

「少しだけ……休ませて」

月の欠片と星屑にほどけながら変身が解けていく早紀

SCENE 02

月の力がほどける

その瞬間。胸元の月の石が、かすかに明滅した。

早紀は目を伏せる。月の魔力が、消えようとしていた。

銀色の鎧の表面に、細い亀裂のような光が走る。

肩。胸元。腰。腕。そして脚へ。

鎧は砕けるのではなく、静かに、光へとほどけていった。

小さな月の欠片。透明な星屑。ガラスの粉のような光の粒子。

無数の輝きが早紀の身体から離れ、洞窟の中を漂っていく。

まるで夜空そのものが、彼女の身体からこぼれ落ちているようだった。

やがて、戦士の鎧はほとんど姿を失った。

その代わりに、宙を舞っていた光の粒子がもう一度、早紀の身体へ戻ってくる。

白いブラウス。グレーのスカート。いつもの会社員の姿。

光はまるで糸のように絡まりながら、一枚ずつ服を織り上げていった。

そして。最後の月の欠片が、早紀の肩の上で淡く光り、ふっと消えた。

月の戦士はいなくなった。

そこにいたのは、疲れ果てた、ひとりの女性だった。

「……もう、無理」

早紀はそのまま目を閉じた。そして、深い眠りへ落ちていった。

森の集落で大樹に縛られ小人の魔物たちに囲まれる早紀

SCENE 03

魔物たちの集落

次に目を覚ましたとき。

最初に聞こえたのは、笑い声だった。

「……ん……?」

早紀はゆっくりと目を開ける。

暖かい灯り。木で作られた家。吊り橋。無数のランタン。

そこは洞窟ではなかった。森の奥深くにある、魔物たちの集落だった。

早紀は身体を動かそうとした。だが、動かない。

「え……?」

太い縄が、身体を何重にも縛っていた。背中には大きな木。両腕も、腰も、しっかりと固定されている。

そして周囲には——小人ほどの大きさの魔物たち。

尖った耳。黄色い目。槍や棍棒を持ちながら、早紀を囲んでいた。

一匹が笑う。もう一匹も笑う。次々に、魔物たちの笑い声が広がっていく。

早紀は唇を噛んだ。戦士の力は、まだ戻っていない。

「……最悪」

その言葉を聞いた魔物たちが、さらに嬉しそうに騒ぎ始める。

そのとき。集落のいちばん奥。巨大な木の上から、低い鐘の音が響いた。

カァン——。

魔物たちが一斉に静かになる。そして全員が、同じ方向を見た。

早紀も、つられるように顔を上げる。

木々の奥。巨大な影が、ゆっくりと近づいてきていた。

早紀は息を呑む。

どうやら——本当に厄介なのは、この小人たちではないらしい。

TO BE CONTINUED

影の正体は、まだ誰も知らない。

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